建築プロデューサーが家を建てるなら選ばない設備・仕様
こんにちは、CUSTOM HOMEです。
「あると便利?」「あっても使わない?」と、悩みがちな設備・仕様。深く考えずにつけると、予算がかかるばかりか、後悔ポイントになってしまうことも。
今日は、建築プロデューサーが家を建てるなら選ばない設備・仕様をご紹介します。
■建築プロデューサーは選ばない設備・仕様9選
●壁掛けテレビ
スッキリした見た目が人気の壁掛けテレビですが、場所を変えることができず、買い替えも大変です。引渡し当初は満足していても、数年後に後悔ポイントになることも少なくありません。
そもそも、なぜ壁掛けテレビが登場したかというと、50インチを超えるテレビはかつてプラズマテレビしかなく、100kgを超えることもあり、既製品のテレビボードでは規格が合わなくなりました。そこで、壁掛けテレビとして売り出されたのです。
しかし、最近はテレビも軽量化し、大型ディスプレイでも普通のテレビボードに置いて問題ありません。スタイリッシュな脚のデザインのテレビも登場しています。
流行が過ぎれば、壁掛けテレビはいずれ廃れていく可能性があります。「壁掛けテレビ=昔のお家」というイメージになるかもしれません。テレビ業界も進歩している今、置き型の方がかえってスタイリッシュだと思います。
場所も自由に変えることができ、最新のテレビが販売されたら、気軽に買い替えられます。
●デザインで選ぶ高価なキッチン
キッチン設備には、高価格帯の商品がたくさんあります。SNSなどで見て、高価なキッチンが欲しくなる方も多いのではないでしょうか。
ただ、キッチン設備の値段が変わったからといって、できあがる料理が変わるわけではありません。意外と、キッチン設備の価格差は、暮らしの満足度に与える影響が小さいというのが実感です。
それなら、最新の家電を購入したり、こだわりの調理器具を新調したりした方が、料理のバリエーションも広がり、毎日の食事の時間が豊かになるのではないでしょうか?
また、高価なキッチンでも、毎日使うと、天板が汚れたりガスコンロが劣化したり使用感が出てきます。それでも、買い替えるとなるとコストがかかるため、古びた高級キッチンを30年近くそのまま使っている…といったことになりかねません。
それなら、100万円ほどの一般的なキッチンを、15~20年ぐらいで最新のものに買い替えたほうが、快適に暮らせます。
●部屋干しのためのランドリールーム
最近は、ランドリールームの人気が高まっています。しかし、ガス乾燥機「幹太くん」があれば、ほとんどの洗濯物を短時間で乾かせます。部屋干しが必要な衣類は、意外と多くありません。
また、部屋干し用にランドリールームを作っても、両面ガラス張りにするなど採光と通風の条件をそろえなければ、生乾き臭が気になるといった理由で、使わなくなってしまうことが多いのです。
2帖程度でも、床面積が増えれば全体のコストが上がります。それなら、15万円程度で幹太くんを買ったほうが、コスパに優れていると思います。また、2帖分LDKを広くするのもいいかもしれません。
●狭いベランダやバルコニー
洗濯物を干すためだけの狭いベランダやバルコニーも、後悔ポイントになりがちです。部屋干しが必要な衣類が少ししかなければ、2階踊り場やLDKの一角でも事足ります。
コストをかけて狭いベランダやバルコニーを作っても、掃除が大変なだけで、ほとんど使っていないという話をよく聞きます。
もしベランダやバルコニーを作るなら、2階LDKと併設する形で、アウトドアリビングとして使えるぐらい広めのベランダにすることをおすすめします。そうすれば、BBQをしたり、おうちキャンプをしたり、暮らしがより豊かになります。
バルコニーについては、下記の記事もご覧ください。
アウトドア好き必見!注文住宅ならではのバルコニー活用法
https://custom-home.jp/cms/2021/11/post3071/
●WIC・パントリーなど収納の建具
家づくりをする時は「生活感を隠したい」という気持ちから、収納にも「念のため」と建具をつけてしまいがちです。しかし、暮らし始めてみると、開けっ放しで建具は必要なかったということが多々あります。
建具があると、動作が増えるため、究極的には建具はなるべく減らした方が、暮らしが快適になります。特に生活動線上、家事動線上には、なるべく建具をつけないことが理想です。
生活感を隠したいなら、間取りを工夫しましょう。建具をつけなくても、来客の視線を外す工夫をすれば、スッキリ見せることは可能です。
また、建具があることで空気が動かなくなり、カビの原因にもなります。
●通風・採光等の目的がない窓
窓も家づくりではつい多めにつけてしまいがちです。「窓がないと暗いかも」と考える方が多いのですが、しっかり採光や通風の計画を立てれば、不要な窓をつける必要はありません。
採光・通風・日射熱取得といった役割を持たない窓をつけると、かえって住みにくい家になります。
実際に暮らし始めると「壁が大切」と実感することが増えるでしょう。家具を置くにも、引き戸をつけるにも、壁が必要です。
●センサー式でない玄関照明
玄関照明はセンサー式がおすすめです。バッグや買い物袋を手に持っていると、照明をつけることができず、結局は足元が暗いまま玄関を通り抜けることになります。
センサー式なら、外出時や帰宅時に自動で照明がつき、通り過ぎたら消えるため、照明を消す手間もありません。
●全館空調
全館空調は、イニシャルコストもランニングコストも高く、コストパフォーマンスが高いとはいえません。
今の住宅は高性能で、高気密高断熱です。全館空調にしなくても、空気の動線を考えて設計すれば、通常の空調設備でも、家の中の温度差をなくすことができます。
●屋上庭園
おうち時間が増えたことで「屋上庭園」に憧れる方が増え、屋上庭園を売りにしている住宅会社も登場しています。
しかし、実際に屋上庭園を作ると「排気ガスや強風で洗濯物を干すのはムリ」「2階寝室が雨漏りした」「近くにマンションが建って丸見えになった」「1階キッチンと屋上庭園を往復するのが大変でBBQはしなくなった」など後悔する声は後を絶ちません。
屋上庭園を作る前に、本当に屋上庭園が必要なのか、よく考えてみてください。
屋上庭園のデメリットについては、下記の記事もご覧ください。
屋上庭園はなぜ後悔ポイントになる?建築家が解説
https://custom-home.jp/cms/2021/12/post3148/
■周りに流されず自分のライフスタイルに合う設備・仕様を選ぼう
家づくりを始めると、先に家を建てた友人から「これがおすすめ」という話を聞いたり、SNSの投稿を見たりして、「つけないと不安」「みんなつけているから」という心理に陥りがちです。
しかし、何が必要か、何を快適と感じるかは、人によりけりです。
今回、一般論や自分自身の実感としておすすめしない設備・仕様をお伝えしましたが、一概に誰にとっても後悔ポイントになるとは限りません。
たとえば、「高価なキッチンが昔からの憧れ!これがあれば料理のモチベーションが上がる」というなら、高級キッチンに予算を割く価値があります。
周りの意見に流されず、自分たち家族のライフスタイルに合った設備・仕様を選ぶことが大切です。
CUSTOM HOME建築プロデューサーの自邸